アメリカ・カリフォルニア州で毎年8月に開催されている「コンクールデレガンス」は、世界的にも最大規模のクラシックカーイベントです。今年は日産自動車さんが『インフィニティ・プロトタイプ9』と言う、1940年代のレースカーをイメージした電気自動車を出品しています。自慢させてもらうと、それに装着されているタイヤ・ホイールは弊社が販売したものです。
昨秋に日産自動車本社のとある部門から、クラシックカーのタイヤを得意としている弊社に問い合わせを頂きました。喜び勇んで引き受けたものの、特にホイールに関しては困難を極めました。クルマのコンセプトとして、日産が販売している量産車の足回りを流用し、しかしながら1940年代のレースカーの雰囲気を醸し出すためにセンターロック式のワイヤーホイールじゃなきゃイカンとのこと。
日産のクルマってボルトが四本とか五本とか出ていて、それをホイールの穴に通してナットで締める・・・そんな構造にです。センターロックホイールなんて、物理的に無理です(苦笑)。でも装着したいとの希望ゆえ、ボルトとセンターロックホイールの間に『何か』を介在させて取り付ける方法を考えました。
妄想にも近い考えを実現化するために、イギリスやアメリカやヨーロッパの色々な業者にメールで問い合わせしました。ほとんどの業者からは回答がなく、そりゃそうでしょう(苦笑)、数社から「より詳しく話を聞きたい」と回答をもらい、さらに絞って唯一イギリスのとある会社のみ「協力します!」の意思表示をしてもらえました。
その会社と、「日産自動車さんから足回りの設計図をもらって、メールに添付して送ってくれないか?」とか、以後何度もメールや電話でやりとりをし、何とか完成して送ってもらい、昨冬に日産自動車さんに納入しました。
今回のコンクールデレガンスへの展示がこのクルマのゴールだと思っていましたが、実はスタートで色々な事に今後挑戦すると聞きました。その為に、今回納品したタイヤ・ホイールセットとは別に、あらためて別のタイヤ・ホイールセットの問い合わせを日産さんから受けています。今後の展開にも加わらせて頂けて、とても光栄です。10月早々にはイギリスに飛んで、ホイールの会社とタイヤの会社を訪ね、日産さんから新たに頂いた課題をクリア出来るよう話し合って来ます。