20数年前、その当時クルマやタイヤに興味持つ人達にとって重要な情報源は「クルマの雑誌」でした。かつ多くの方が、記事の内容を疑わずに信じていました。
しかしながら記事で礼賛するタイヤを実際に販売すると、品質の低さからクレームが多かったり、、、も少なくなかったです。そこで「タイヤを販売し、自ら交換作業している立場から、忌憚のない意見を書かせてくれませんか?」と自動車関連の本を出版している会社に、やみくもに郵送しました。
ほぼ全ての会社から無視される中、唯一『宝島社』から「弊社が数ヶ月後に出版する”本音のクルマ選び96”に、10ページほど村上様のタイヤに関する考えを載せさせてもらいたいです。つきましては契約しているライター・松田勇治を御社に訪問させ、取材させたいと思います。」と連絡をもらいました。
これが松田勇治さんと知り合うキッカケです。ほどなくして、福岡市在住のマンガ家山口かつみ先生が「オーバーレブ」というクルマを題材にしたマンガの連載が開始することになり、松田さんはストーリーの展開や技術的なアドバイザーとして関わると聞きました。そして松田さんに紹介してもらうカタチで、私とマンガ家の山口かつみ先生との付き合いも始まりました。
松田さん、山口かつみ先生、私の三人でよく飲みに行ったり、一度は北海道の糠平湖にも氷上を走るイベントにも参加しました。
しかしその後に色々とあって、、、「山口先生と私」と「松田さん」の、2対1のような相関図になってしまいました。それでも、時々思い出したかのように松田さんからは電話をもらっていました。今春には「ボクのことを嫌いじゃないなら、タイヤのことで教えてもらいたいことがあるんですが、質問していいですか?」と電話をもらったものです。これが今生最後の、松田さんとの会話になりました。
お酒をこよなく愛し、迎合や妥協を嫌い、他人に受け入れてもらえずとも自分の意見を通した55年・・・早すぎる逝去も、ある意味では彼らしい生き様です。哀悼の意を捧げます。