パイロットスーパースポーツ+インプレッサ
- 車種
- スバル インプレッサWRX STi GDBアプライドE型(丸目A型から数えて5型目 )
- 新規購入タイヤ
- ミシュラン・パイロットスーパースポーツ 235/45R17 (日本ミシュランでは取扱い無し)
- 交換前タイヤ
- 同じタイヤ←ミシュラン・パイロットスポーツPS2←新車純正装着のブリヂストン・ポテンザRE050
選択理由
純正サスペンションはバネ硬め、ダンパーはそれに合わせて締め上げてあるが、初期型に比べると乗り心地はかなり改善されている。
非常に出来は良いがリヤサスは純正タイヤでは跳ねるので乗り心地は悪い。
高いスポーツ性能を謳っているのにサスペンションアライメントは燃費重視。
アプライドE型からフロントキャスター角が若干寝かされ直進性が少し改善された。
RE070が非常に硬く重いタイヤであり、切れ味鋭いハンドリングを「演出」してある。その為かワンダリングに弱く(良くいえば路面の状態をそのまま伝えてくる。)、併せて跳ねるリアサスの為に長距離走行は疲れる。
反面コーナーリング時には車体剛性の高さも相まって非常に速い。勿論スバルの狙いはこちら。
しかしフロントキャンバー、トー角の設定値の問題からかコーナリング時、純正サスペンションでは対地キャンバー角が不足気味でタイヤの外側エッジを使ってコーナリングする印象。
接地感触が悪い為グリップ感が分かりにくく、路面状態が悪いと跳ねるので安心してアクセルもブレーキも踏み切れない感じ。
速く走れても気持ち良さには繋がってない感じで自分の好きなハンドリングではありませんでした。
このインプレッサで家族を乗せて岡山県までの片道約450km中国自動車道を安全に速く走る為またコーナリング時の感触改善、乗り心地の改善を主な理由でミシュランパイロットスポーツPS2(以下PS2)を選択。間違いないのかアドバイスを頂きたく村上タイヤ様に相談し、装着した事から始まりました。
ミシュランパイロットスポーツシリーズの優秀性は、それ以前に乗り継いだ2台のBMW(Z3ロードスター・318iMスポーツ(E46))によって体験済みでした。
インプレッサとPS2とのマッチングについてはいくつかの不満点もありましたが、車が要求する性能より、自分の要求を優先させた狙い通りで満足していました。
その後約4万km使用し、ミシュランパイロットスーパースポーツ(以下PSS)を装着。
約3万5千キロ使用し、2015年10月に同じPSSをリピートしました。
このタイヤの感想
以下にPSSの感想報告したいと思います。
タイヤそのものと云うよりサスペンション等、車側の性能も含めたトータルでの感想となりますのでそこは考慮お願いします。
冷間時からの走り出しでは硬めの乗り心地であり、路面の轍やうねり、凹凸細かくハンドルに伝えてくる。
PS2と比較するとより強くなったタイヤのケース剛性を、気温の低い冬場にタイヤの硬さを感じます。
しかししばらく大人しく走っていればタイヤが温まってしなやかさが出始め、路面からのキックバックや轍等、ワンダリングに強く、しっかりとした直進性(良い意味で頑固な直進性)が現れる。
ステアリング応答性も落ち着いた感じで、しかし速度が乗れば切れのある反応を見せるので、運転が上手くなったような錯覚をおぼえます。これはBMW3シリーズを運転した時に良く似ています。
路面インフォメーションを過不足なく伝えてくれるので路面状況が分かりやすい。
路面の凸凹からくる突き上げ感は角を丸めて体に伝わるので不快に感じる事はない。妻や子供たちからも文句が出ないので間違いないでしょう。いつも後席で寝てくれてます(笑)。
しっとりとした乗り味は流石にPS2に軍配を挙げますが、「硬いけど全然痛くない」乗り味は自分の狙い通り。
ペースを上げるとより直進性が強くなる。
ステアリング操作に対して応答性も速くなるが、敏感過ぎるところはなく不安定感もないので運転が非常に楽。
高速道路では路面を掴み続ける感触が強く、乗り心地もハンドリングもシッカリ感が強く安定している。
良く言われる猫科動物の脚の感触。
そこにレールが敷かれているかのような走りに。RE070との違いを最も感じるところ。
一般的に認知されているBMW3シリーズの乗り味に近くなるので、逆にBMWはミシュランの乗り味なのかと思ってしまいます。
高速道路走行のコーナリング時、スピードメーターの目盛りがない部分に針が近づく速度領域では「ヒューッ」と連続したまるで歌声のようなスキール音が出て限界付近を教えてくれます。
勿論本当の限界はまだまだ先なのですが、一応それ以上はスピードを上げません。
初期摩耗が終わった後の一般道路走行では「なかなか減らない」感じの摩耗も高速道路走行ではさすがに減りが進みます。
特にフロント外側の減りは早いですが、アライメント設定値が悪いのが原因なので調整で改善出来るはずです。
静粛性はなぜかPS2より優秀。
新品装着時には静か過ぎるのですが、皮むき→初期摩耗終了までの間にどんどん静粛性は落ちてきます。
音は路面状況の判断材料として重要な要素なので自分は気にしません。
つまり静粛性は過度な期待をしない方が良いのですが、スポーツタイヤとしては静かな方だと思います。
摩耗について。
一般的にはタイヤ内圧に影響される摩耗は、内圧が低ければ角が丸く中央部が残り、内圧が高ければ逆に中央部が凹んだ様に減ります。
実際RE070もPS2もその通りに摩耗が進みました。
しかしPSSは角は丸く減るが、外側から内側に少し斜めに真っ直ぐ摩耗しました。
そんな減り方をするタイヤは初めてだったので驚きました。
勿論タイヤ剛性の高さや構造上のデザインからそうなるのだと思いますが、車の性能も絡んでのトータルで考える必要があります。
安全性能について。
よく「雨に強いミシュランタイヤ」との評価を目にしますが、他社プレミアムスポーツタイヤと直接ウエット性能比較した事がないので正直自分は正しく評価できません。
しかし確実に言える事はPS2・PSS共にウエット路面でも路面状態が把握しやすく、安心して運転出来るのでやはりミシュランタイヤのウエット性能は高いと言えるでしょう。
中国自動車道は山あいを縫うように通してあるので気象変化が早く、高速道路としては有り得ないワインディング区間、トンネルも多く路面状態も良いところ悪いところ、アスファルトやコンクリート路面など変化に富んでいるので路面インフォメーションの豊かさがドライ、ウエット共に安心感に繋がります。
インプレッサがAWDだから?その要素は大きいです。しかし同様の感触を持ったBMWはFRなのです。
良く言われる対ハイドロプレーニング性能については、残念ながら自分には語る事は出来ません。
ステアリング操舵感が軽くなる感触がある時は路面状況が悪いと分かるので、深い水溜まりが出来るほどの雨天時にはどんなに急いでいても安全運転を心掛けています。
悪天候時の操縦安定性について。
スバル車のAWD性能の高さは定評あるところ。活かすも殺すもタイヤ次第であることは間違いのない事実です。
積雪路の走行について。
過信に繋がるのであえて書きません。悪しからず。
スポーツ走行について。(ドライグリップ)
サーキットに行かない限りグリップ力が不足する事はないでしょう。
高速道路を含めた一般道路では充分。
タイムを追いかけたり、他の誰かと競う事が何より重要であるなら自分なら他社のハイグリップタイヤを選びます。(ライフの短さを無視出来るならば)
コーナリング時の反応はステア操作にリニアに反応する上に、跳ねずに路面を掴む感触に富んでいるので安心してフルブレーキング、フル加速出来ます。しかもフルブレーキング時、ギューっと音が出るのでそれを頼りに限界を探る事が出来ます。
PSSであろうがハイグリップタイヤであろうが限界はあります。
要はタイヤを通じて路面との対話を楽しむ事。その部分ではPSSは音や振動で
必要な情報を色々と教えてくれます。
乗り心地の良いタイヤにありがちな腰砕け感や、ふらつき感はタイヤ内圧が正常であれば通常走行においてほぼ感じる事はないです。スポーツ走行時、荷重移動に失敗すると顔を覗かせますが、そこは腕の上げシロとして楽しんでいます。
誤解ないように付け加えると、タイヤサイドウォールの一部がしなやかに変形するのですが、ハンドリングに悪影響なく、逆に剛性の高い部分を効率的に接地させる事で結果的に高いグリップレベルを発揮している感触。
いわゆるメカニカルグリップ能力が高いと言えるでしょうか。
ライフについて。
トレッドウエア300なので計算上長持ちするタイヤ。
自分の場合は年間約1万㎞走行距離で4年持たせる計画でしたが、ある問題の為にタイヤトレッド面の外側エッジ部のひび割れの進行が早まった為に5千㎞早く交換せざるを得なかった。
ドライビングスタイルやメンテナンスに影響されるので、ハッキリ寿命は何年何万㎞とは言えない。
自分はトレッド面のひび割れは発見後その進行具合を常に気にかけるようにして、基本的には使用限界4年に決めています。
そして3年使用後に次のタイヤ選びの為に情報集めと、交換時期の計算を始めます。
問題とは…想像ですが、もともとフロントサスペンションアライメントに問題があり、普段からタイヤ外側にかかる負荷が大きく硬化しやすいと思われる。
自分の車だけではなく、スバル車でいえばレガシィでも見られる。
ミシュランタイヤが弱いのではなく、RE070でも、他人のレガシィのRE050でも見られた。
加速しながらコーナリングすると前輪対地キャンバー角が不足するからか?
街中走行ではアライメント変化が少ないからか?
もう一つ。ダンパーが抜け始めた為伸び側の抑えが弱くなり、車体の傾きが大きくなり、フロントサスペンションに対地キャンバー角が足りなくなった為か?
因みにダンパーが抜けたと言っても元々減衰力が高めであり、単筒倒立式の為か性能は落ちても普通に乗る分には何も問題のない状態です。
交換時期近くの乗り味について。
新品装着から3年も経過すれば流石にゴムの硬化を感じます。
冷えている時の乗り心地は硬くなり、接地感も悪くなった感触があります。
しかし熱が入ればやはりしなやかさと、しっかり感が戻ってきます。
直進性も変わらず良好であり、普通に乗る限り何も変わらないように思えます。
劣化している意識を持って運転している限り何も問題ないと思います。
以上のようにこれは完璧なタイヤ…のように思えてきますが人によってはやはり欠点と云うか不満に思うであろう部分もやはりあるわけです。
乗り心地がタイヤ内圧の変化によって変わりやすい事。
技術的な確証がないのであくまでも予想ですが、タイヤサイドウォールの外側からトレッド面にかけて剛性が高く、ホイールに接しているビード部はかなり硬い。それらを繋ぐ中間部が柔らかくしなやかに動くのですが、その動き幅が内圧によって変わる為だと思っています。
ただし本当はそんなに単純な事ではないと思われますが…
逆にその変化しやすさを利用して好みの乗り味に変える事が出来るとも言えます。
自分はPSSのコンパウンドに頼らないメカニカル的グリップ感にミシュランらしさの一つを感じているので欠点とは捉えてないのですが、人に勧める時には必ず伝えるようにしています。
もう一つ。
自分は他のタイヤを選ぶのに勇気が必要になった事(笑)
今回も他社ブランド、ハイグリップタイヤも含めて情報集めにかなりの時間を割きました。
しかし、結果的にPSSをリピート。
今の車を降りない限りPSSを選び続けるでしょう。
平成27年10月12日サスペンション交換。
同24日ミシュランパイロットスーパースポーツ交換。
ここからはPSS2セット目のインプレッションになります。
当然新しく装着したサスペンションキットとの相乗効果でのインプレッションになりますので、タイヤ個体の性能を語っている訳ではありません。
ここからはPSS2セット目のインプレッションになります。
当然新しく装着したサスペンションキットとの相乗効果でのインプレッションになりますので、タイヤ個体の性能を語っている訳ではありません。
基本情報
テイン モノスポーツダンパーキット
スプリングレート F9k R7k
単筒正立式ストロングチューブ構造
Fピロボール、Rゴムアッパーマウント
減衰16段調整
車高調整
ノーマル車高比F30㎜、R25㎜ダウン
サスペンションアライメント調整
F キャンバー角約1°トー角約1°(暫定)
R キャンバー角1°
これを書いている11月23日時点では、アライメント調整値は暫定的であり、タイヤの摩耗状態と、ハンドリングのセッティング煮詰めの為に今後再調整予定。
タイヤ空気圧
耐荷重性向上の為、F、R共に標準値+0.1キロ上げ。(暫定)
新品装着後約1000㎞走行。
車高調とのマッチングについて。
スプリングレートが純正比2倍以上になる事から、ミシュラン独特のしなやかさが逆に腰砕け感に繋がるのではないかと想像していました。
しかしそんな事は全くなく、逆に更にしっかり感が強くなったのは驚きでした。
その上路面からのショックはキレイに角を丸められ、不快な痛い突き上げ感も全く感じない。
もちろんダンパーの性能も高く、良く動く上に減衰の幅が広い事と合間っての感触だと思います。
減衰を一番高くしても普通に乗れてしまうPSSのフレキシビリティには驚きました。(もちろんタイヤにかかる負荷が大きいので少し走って試しただけ)
純正のゴムベアリングアッパーマウントから、ピロボールアッパーマウントに代わった事でステアリング応答性は遊びの少ないダイレクトな反応を見せるのですが、やはり落ち着き感のある感触にPSSらしさを感じます。
直進性はトー角調整の影響もあり、ビシッと真っ直ぐに走るので、今後直進性はPSSに任せてトー角を回頭性に振る再調整を行うかも知れませんが、これは高速道路を長距離移動した後に考えます。
スポーツ走行時にはステアリング操作に対して正確な応答性に。
これは逆に曖昧な部分が少なくなり、ドライバーにも正確性が求められる為、腕の磨きどころのハードルが上がる結果に。
しかし、PSSは前記の通り路面インフォメーションに優れているおかげで腕の磨きどころが増えて楽しいです。
今はまだその早くなった反応と、コーナリングスピードに慣れる段階ですけど。
全般的に乗り心地は硬くなる方向である事は間違いないところ。
ですが、いかにもシャコチョ付けました的下品な乗り味にはならず、ダンパーの性能の高さと合間ってまるで新しく車を買い替えたかのようになりました。
その乗り心地の良さは、某六連星社の昨年出たワゴンタイプの新型車のビルシュタイン仕様より良いほど。
家族を乗せても文句はでませんでした。
また減衰力はそのままでスポーツ走行の気持ち良さも遥かに向上し、減衰力を上げてまるでカートのような乗り味にしても突き上げ感が少なく良好な接地感を伴って路面を捉え続けるPSSのスポーツ性能には驚きを隠せません。
PSSの本性が現れていると言えます。
今のところ正直自分の思うところの欠点が見当たらず、正に理想的な乗り味になりました。
強いて挙げれば路面のうねりや凸凹をつぶさに伝えてくる…のですが、やはり角を丸めた感じで不快に感じる事はないのです。
あとは高速道路の長距離走行と、ライフについてですが、これらはまた後の機会にしたいと思います。
以上で現時点でのインプレッションになります。
今後何か変化が出た時点で改めてリポートします。
追記
ここからは全て確証なく自分を納得させる為の考察
タイヤは第2のサスペンションという言葉を何かの車雑誌で見かけた事があります。
PS2とPSSにはまさにサスペンションとしての機能を感じています。
初めてPS2を装着した後、しなやかさとスポーツ性が高いレベルでバランスよく感じられる事に不思議な印象をずっと持っていました。
「柔らかいのにしっかりした乗り味」
その謎を解く鍵はフェラーリのサスペンションセッティングについて書かれた記事にありました。
「バネの柔らかい部分を潰して硬い部分を使う」
当たり前のようにも思いますが、これと同様な事がPS2でも起きていたのでしょう。
しなやかにたわむ部分を潰して剛性の高い部分でグリップを稼ぐ。
極端に分けると縮み側は空気圧で受け止め、伸び側は構造部分とゴムで抑え、凸凹はゴムのたわむ部分でいなす。
それらの相乗効果の出し具合でこの乗り味が生まれると考えた時に、やっと理解出来たような気がしました。
その点でPSSはよりスポーツ志向に振ったモデルと言えるでしょう。
しかもタイヤは回転しているので、路面から受ける力は真っ直ぐホイール中心に向かうのではなく、回転しているタイヤに沿って後ろ斜め上に向かっているはず。
回転が増す(スピードが増す)ほどその角度が浅くなり、路面からの入力はワイヤーのある高剛性部分を通過してからしなやかな部分に伝わるので、乗り味がしっかりしているのにしなやかさも感じるのではないか。
また、直進性についてはタイヤそのものにトーイン効果があるのではと考えます。
PSS1本だけだと内側に曲がろうとする力が働くのではないか。
車は4本のタイヤで走るので内側に曲がろうとする力を打ち消し合って強い直進性が出るのではないか。
言うまでもなく車にはタイヤ4本ついていて、回転してなんぼです。
この当たり前の事をPS2とPSSを通じて思い知らされました。
誤解を恐れずに語ると、ミシュランと他社ブランドとではタイヤ開発の基本の出発点からしてすでに違うのではないかと思う事があります。
コンセプトが違えば出来上がる製品も違うのは当たり前の事。他社ブランドがどうのと言うわけではありません。
ただ、ミシュランパイロットスーパースポーツが、そのコンセプトが自分にとってピッタリはまってしまったと云う事です。
ミシュランタイヤと、信頼出来るショップと出会えて、
多分自分はタイヤに関してとても幸せ者なのでしょう。
感謝しています。
ありがとうございました。