雨の日の安心感も劇的。しかしブロック剥離が、、、
村上さん、初めまして。静岡の井口と申します。
まだスリップサインは出ていなかったのですが、雨中走行にてスリップ限界の低下を感じ、交換を決意しました。
ポテンザ・ドライビングレッスンという、ポテンザユーザーを対象としたブリジストン主催のサーキット走行を申し込んであったため、選択肢はポテンザしかありません。しかし、当時出たばかりだったRE-711は、ブロック剥離の噂を聞き、また、他人の車にてこの目で目撃していましたので、前モデルの
RE-710kaiの在庫を取り寄せてもらおうと思っていました。しかし、店主にわけを話すと、「そんなはずはない。ぜひ、ブリジストンの最新技術を味わって欲しい」という強い勧めを受け、それならばと、RE-711を選択しました。
交換して、走り出してすぐの印象は「ぐにょぐにょしたステアリングの感触」、そしてすぐに「静か!」という感想を持ちました。
「ぐにょぐにょ」については、不自然な事は全くありません。ただ、「最高峰のスポーツタイヤ」と思って接すると、「おや?」と意外に感じるという事です。実際にスポーツ走行をしてみると、これはタイヤの剛性が弱いのではなく、ブロックパターンが歪む感触なのだという事がすぐにわかります。タイヤそのものの剛性は、純正ポテンザに比べても、高過重で腰砕けになる事がなく、たいへん高いようです。ブロックの歪む感触も、今、タイヤがどのような状態なのかを常に伝えてくれると考えれば、低荷重域から高荷重域まで、ドライバーへの情報量がたいへん多いタイヤだと思います。なるほど、これがブリジストンの技術なのかと、感心しきりでした。
「静か!」の方は、個人的には特に求めていた性能ではなかったのですが、もともと車内へのノイズの侵入が多い車ですので、80km/hくらいになるとオーディオの音量を上げていたのが、その操作の頻度が劇的に減りました。
そしてもうひとつ、雨の日の安心感も劇的でした。もしかしたら、濡れた路面でも、今までのタイヤのドライ性能に引けを取らないのではないかと思うほどです。もちろん、ドライでのグリップ性能も格段にアップしました。ドライビングレッスンの急制動で、タイプR純正のブレーキでさえ、タイヤに負けるほどです。
しかし、やはり、このタイヤの有名な致命的欠陥「ブロック剥離」は、私のタイヤにも起こってしまいました。ドライビングレッスンでは、走るたびにチェックしていたのですが、最後の最後、3本目のサーキットフリー走行(筑波)で、両前輪外側のショルダー部のブロックが、ボロボロに剥離していました。
交換した店に持って行きましたところ、私が事前に心配していた通りの事でもあり、無料のクレーム扱いでRE-710kaiと交換してくれました。
この際も、とても快く対応していただきました。また、在庫取り寄せのため、後日交換したのですが、その際に、メーカーの見解も教えていただきました。曰く「メーカーのテストでは事例がない。ウォームアップが足らなっかったのではないか?」という事でした。また、これは最近よそで聞いた話ですが、「空気圧の管理をしっかりしないと、発熱で空気圧が上がるとブロックに負担がかかってしまう場合がある」という、メーカーからの見解もあったそうです。なんにしろ、限界走行においてはデリケートなタイヤであるのは確かなようですね。
総じて、「致命的欠陥」の1点を除けば、とても良くできたタイヤです。サーキットでの連続限界走行や、どこかでドリフト走行でもしない限り、少々飛ばしたり、急ブレーキでタイヤロックさせる程度で、この欠陥が顔を出すことはないでしょう。スポーツ心を持った一般のドライバーでドライビングプレジャーを求める向き、高い限界のタイヤで安全性の向上を求める向きの方などに胸を張ってお勧め出来るタイヤだと思います。
蛇足ですが、「一般車にこの性能はオーバークオリティだ」という意見は的外れだと思います。例えば、目の前に子供が飛び出して来たとき、タイヤの性能によって、跳ねるか跳ねないかの境目になる事もあり得ます。Sタイヤのようにグリップのために他の性能が犠牲になっているのならまだしも、このタイヤに関しては、公道で求められるあらゆる性能が高次元でバランスしていると思います。
ただし、スポーツ走行を中心に考える場合は、敬遠せざるを得ないのが残念なところですね。「711kai」はまだ出ないんですかね?(笑)
[クレーム交換したRE710kaiのインプレを読む]
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