タイヤ重量の軽さ、カタログで謳っている低騒音、居住性に興味があってP7
(インプレ参照下さい)を購入しました。
しかしSAABのゆったりとした車の動きとタイヤの性格(P7はコンフォートタイヤといってもやはりスポーツ志向で横剛性重視)が合致しませんでした。その結果クルマ全体の動的なバランスが崩れ、また静粛性も大幅に損なわれたために1000km足らずでP7は諦めました。
次はPilot HXシリーズではないが、ミシェランがコンフォートフラグシップとうたっているMXV8を選択しました。
Pilot HX MXV3-A、プライマシー、P7、そしてMXV8と同じ車で 4種類のタイヤを経験しましたた。1000km走行して結論から言うと、現時点では自分の車(求める性格)には最良の選択であったと非常に満足している。
・先ず乗り心地
小突起、凸凹、目地段差など、これまでタイヤと路面のあたりの堅さを感じる事があったが、MXV8ではそれをいっさい感じない。タイヤがトレッドだけでなくサイドウォールを含め全体で吸収している印象で、嫌な突き上げは一切なくなった。また車体がヒョコヒョコと上下動することも驚くほど少なくなり、常にフラットな姿勢に保たれるようになった。高速走行時は、停車しているかのよう・・・・・同サイズのタイヤにもかかわらず、これほど車体の姿勢変化に影響があるとは驚きである。(硬い、柔らかいで判断するのではなく車体の(微小突起から大きなうねり乗り越えまで全域で)
フラット感がどれほど保たれるかが、タイヤの乗り心地の判断だと、勉強になった。)
・静粛性
これもこれまで経験した中ではベスト。舗装したての高機能舗装道ではそれこそ無音を体験できる。古くなった高機能舗装道(←これって以外とうるさいもの)でも、タイヤが頑張って騒音を抑え込もうとしているのがわかる。今まで気になっていた道での騒音も意識の中から消えていて、通過した後で思い出すといった印象。また驚いたのが、操舵時の騒音の少なさ。操舵すると騒音が一気にあがり山道では右、左と舵をきるたびにゴー、ゴーと音がするタイヤがある中で、MXV8は操舵時の音が非常に少ない。騒音に対する不満は全くない。
・直進性も非常に良好。
150km/h以上でもHX MXV3-Aなみに安定している。ペタっとした感覚でもサラリとした印象でもなく、どっしりとした印象。また回転精度は(組み上げがよかったせいか)非常に高く、いやな振動は一切ない。ワンダリングについても、これまで経験したどのタイヤよりも少ない。引っかかる感じが全くない。
・グリップ、操縦性についてはまだ多くを試してませんが、十分以上の見込み。
レスポンスはHX MXV3-Aに近く、比較的ゆったりとしている。やはり性格的には明らかにスポーツタイヤの動きではない。かといって頼りない印象はいっさいなく、どの速度域でも安心して走行できる。強力なグリップの印象はないが、逆にノーマルサスを履いている車には、「グリップしているタイヤに車体が引っ張られる」ような印象がなく、タイヤとサスが一体となって曲がるようになったので、体感的なロールそして革シートからお尻が横にずれる感覚が減少した。コーナリングはタイヤグリップではなく、車全体でまがるものだと実感した。(限界への絶対速度は数キロ低いかもしれませんが、そんなものは自分にはどうでもいい。)但し、あくまでも欧州車のノーマルサスのセッティングにあっている訳であって、スポーツサスを組んだ車にはプライマシ以上、P7以上の方があっている事は容易に想像がつく。やはり車の性格とタイヤの性格は合わせるべきだと実感した次第。高価なスポーツタイヤ=自分の車に合う良いタイア、の図式は成立しないと再認識。そう言った意味では自動車雑誌のサーキット試乗での報告はある側面では意味がない。
・転がり感。HX MXV3-A 距離をこなすにしたがって、よく転がるようになった。但し、これが他メーカタイヤに比べどれほど省燃費に貢献しているかは不明。初期の磨耗状態ではP7の方が、軽いこともあってよく転がっていた。
※タイヤの性格が穏やかで、運転も必然的に穏やかになるので、精神面からくる省燃費の方がよっぽど大きい。燃費なんて、そもそもそんなもの!?
以上、素人なりの感想でした。日頃、踏面がかたいなあ、音がちょっとうるさいなあ、そんなに飛ばさないからもっと乗り心地がよく静かなタイヤがいいな。でも飛ばすときもあるからヨレヨレのタイヤは嫌だ。信頼性もタイヤの安定感もかなり高い点数を求める方には、MXV8は最適な選択肢の1つかと思う。但し(メーカによって性格は異なるが)言わばノーマルサスが条件。ノーマルサスであれば、ゆったりした動きと非常に合致してタイヤと車の一体感が味わえると思います。
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