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2000.08.28
車種 ホンダ シビックType-R
新規購入タイヤ ヨコハマ ADVAN NEOVA (195/55-15)
交換前のタイヤ ダンロップ FORMULA FM-901 (195/55-15)
購入動機 摩耗したため
購入金額 ハイグリップタイヤが恋しくなったため(笑)
購入場所 カー用品量販店「Baden」(浜松)
そこを選んだ理由 前回の交換で満足だったので。
 
総じて、目的のはっきりしたタイヤ

村上さんさん、こんにちは。

以前、シビックRでのインプレッション4つを掲載していただいた、 (RE711等のインプレを参照下さい) 静岡の井口です。

村上さんのアドバイスでNEOVAに履き替え、2000km ほど経過して、いろんなシチュエーションを走りましたので、そろそろまたインプレッションをお送りします。

「デジタイヤスポーツ FM901」の残り溝も少なくなってきましたし、このタイヤにも飽きてきました。結局、このタイヤは、最後まで私に何の感動も与えてくれませんでした。「タイヤにする?デジタイヤにする?」ってCMは割と好きなんですけどねぇ。ええ、毎回「タイヤ!」ってツッコんでますから(笑)。いや、「デジタイヤ」が悪いって事はないと思いますけども。

さて、次のタイヤですが、最近はハイグリップ群が値落ちしており、そちらに食指が動きます。ブリジストンの711かヨコハマのNEOVAかという2択(なぜかダンロップのこのクラスは見かけない)となりますが、711は以前にブロック剥離を経験していますので、村上さんのお薦めもあり、自然とNEOVAとなりました。FM901を履いた頃には全コミ7万円くらいの見積もりでしたが、同店で上記価格まで値落ちしていました。

まずは村上タイヤさんで仕入れた知識をもとに、製造年月をチェック。よしよし、ちゃんと今年のタイヤです。左右非対称パターンのせいで、左右で2ヶ月ほど違いますが(笑)。

このタイヤ、やはり最初にスポーツ性能を評価すべきでしょうね。結論を言いますと「最高!」です。走りながらニヤけてしまうほどです。特に、スライドのコントロール性は絶品。滑ってからのコントロールの幅が広く、グリップ限界は高いのに、どうにでも車体を振り回せます。

また、グリップ状態からスライド状態、その逆の移行が穏やかで、例えばブレーキングでリアのスライドを伴いながらコーナーに進入していき、クリップでアクセルを入れたときのケツの収まり具合なども、気持ちよすぎて笑ってしまうほどです。これは、ブリジストンのポテンザとは考え方が違う気がしますね。

ポテンザは、滑るまでのコントロール性に重きを置いている気がします。対してNEOVAは、滑るまでは割とフツウのタイヤで、滑ってからが勝負です。「ドリドリ(土屋圭一)とガンさん(黒沢元治)の性格の違いそのまんま」と言えば、わかる人にはわかるでしょうか(笑)。確か両者がそれぞれの開発に関わっていると思いました。ただ、間に2本ほど「比較にならない」タイヤを挟んでしまって、ポテンザの印象がボケてしまっています。次は「711kai」を履いて、はっきりと比べてみたいですね。それまでに出ているといいですが(笑)。重ねて言いますが、スポーツ性能において、GRID2、FM901とは「比較になりません。」

ウェット時のグリップも、そう極端に低下する事もありません。とはいえ、 711のようなふざけたウェットグリップはなく、濡れている方が滑りますが、性格が豹変するというほどでもありません。また、ストレートグルーヴのないパターンのため、アクアプレーニングの耐性を心配していましたが、新品状態では特に問題ないようです。溝が減ってきた時にどうなってくるかはまだわかりませんが、それは普通のパターンのタイヤでも同じ事ですし、杞憂だったと思っていいようです。

このパターン、デザインいいですよ。私は好きです。左右非対称パターンにどれほど意味があるのかわかりませんが、見た目のハッタリだけでもじゅうぶん効果的です(笑)。独特なパターンと併せて、一目で「普通じゃないタイヤ」とわかります。マフラーさえ換えてないドノーマルのタイプRなんですが、ノーマルに誇りを持って乗っているんだという意志を感じてもらえそうな気さえします(笑)。

しかし、オイシイ話はここまでです。「スライドのコントロール性こそ美点」だと私は感じたわけですが、「スポーツ走行」ではいいとして、普通の「スポーティな走行」で、その領域までタイヤを使う人が、はたしてどの程度いるものでしょうか? 先に述べたように、その領域に入るまでは、割と「普通」のタイヤなんですよ。もちろんグリップは高いんですが、ただ食いついているだけで、情報量が豊富だとかコントロール性が抜群だとかいう事は特に感じません。もちろん不足もなく的確なんですが、何のひねりもありません。このあたりはポテンザに一歩譲ってしまいますね。

スポーツ性能以外の快適性能は、これまた何のひねりもありません。不快なレベルではありませんが、秀でているものは何一つありません。

路面とのコンタクトの情報をそのままドライバーに伝えるという事は、快適性能を語る上ではマイナスに働きます。例えば、雨の降り始めの特に滑りやすい路面などのとき、たいへん滑りやすいという事を実直にドライバーに伝えてしまうため、安心感という意味ではマイナスに感じてしまいます。また、路面の状況を無視してタイヤが勝手に直進しようとするようなお節介はもちろんしてくれませんので、轍があれば、素直にハンドルを取られます。東名高速の道の悪いところなどでは、油断していると瞬時に横に持って行かれたりもします。もちろん、ハンドルをしっかり握っておけばそんな事はありませんが、「ワンダリングが酷い」と言われてしまえば、「ハイ、その通りです」と答えるしかないでしょうね。「それがどうかしましたか?」とも答えるべきタイヤなんですけども。

ロードノイズは覚悟していた割にはそれほどでもありませんが、そこに気を使ったタイヤと比較すれば、当然うるさい方でしょう。まあ、「不快」と感じる一歩手前でとどまっているあたりには、メーカーの良心を感じます。ポテンザの711などは、こういう快適性とスポーツ性能の両立を計ろうとしているのを感じましたが、NEOVAは「不快でなければいい」と、スッパリ割り切っている気がします。私としては、ヘタにひねって肝心の性能に落ち度が出るくらいなら、その方がよっぽどいいと思いますけどね。「そういうタイヤ」である事を自覚して乗っていればいいんですから。ただ、商売としてはどっちが賢いんだろうかと、余計な心配をしてしまいますけども。

総じて、目的のはっきりしたタイヤであり、そのレベルは高いです。サーキット走行も含めたスポーツ走行をするような人で、Sタイヤまでは…という人には、もろ手をあげてオススメします。でも、たまにスキール音させる程度で、積極的にスライドで向きを変えるなんて事はしないって人には、711の方が美味しいかもしれません。また、安全運転志向で、いざという時のためにハイグリップタイヤをという方には全くお勧めできません。私の知る限りでは、そういう方には711が向くと思いますが、ピレリやミシュランのハイグレードタイヤの方がさらに良いのかもしれません。

余談ですが、711はブロックが飛ぶ欠陥タイヤのように言われていますが、限界走行を持続しない限り、言い換えれば、公道でちょっとやんちゃな事をする程度の走りでネをあげるほどヤワでもありませんよ。1つの欠点としてとらえられる程度の事だと思います。そりゃまあ、欠点は次モデルで改善していただきたいものですが(笑)。

私としては、今回の選択は期待通りで大満足でした。性能さえ良ければ、快適性はよっぽど酷くても我慢しようと思っていましたが、特にそういう我慢が必要なレベルではなかったわけですし、性能は期待以上に応えてくれましたしね。もとより、車自身の方向性を考えれば、このタイヤはよく似合っています。「そういう車」に乗っている方々、せっかくなんですから、たまにはこんなタイヤもいかが? こんなトンガったタイヤはたぶん時代遅れなんでしょうから、「ナントカ+エコ」なんてキャッチフレーズのタイヤに押されてラインナップからなくなっちゃう前に(笑)。
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